屋根の棟(むね)ってなに?
「棟(むね)」と言われて直ぐにどの場所のことか分からない方も多いと思います。
屋根の面が合わさっている部分のことを「屋根棟」といいます。屋根のてっぺん部分です。
強風や台風の後に、「屋根の鉄板が落ちてきた!」「屋根の鉄板が浮いている!」
その鉄板部分。
「てっぺんの瓦がズレている!」「てっぺんの瓦が落ちそう!」その頂上の瓦を指しています。
スレート屋根や金属系屋根の場合は、金属の板金を使用しているので「棟板金」
瓦屋根の場合は、瓦を使用しているので「棟瓦」
と呼ばれています。
ちなみに、てっぺんにあるものを「大棟(おおむね)」。その端から四隅へ対角線上に伸びているものを「隅棟(下り棟)」と呼びます。
この「棟」は屋根面の接合部分(角)を覆って屋根材を固定し、雨水の侵入を防ぐ重要な役割を持っています。
重要な役割を持っている「屋根棟」ですが、強風の影響を受けやすく、剥がれ・飛散・変形 といった不具合が発生することが多いのです。
もちろん施工時には風荷重に耐えられるよう設置されていますが、過酷な状況下で経年劣化を起こし、強風がきっかけとなり不具合を起こすのです。
それでは、「棟」について詳しく見ていきましょう。
「棟板金」
屋根(スレート屋根・金属屋根)の棟は、屋根の頂点部分を貫板という板でおさえた上に金属性の「棟板金」を被せて雨水の侵入を防いでいます。
この「棟板金」は釘で固定されているのですが、施工から7年~10年ほどで、どのお宅でも抜けてきてしまいます。
釘が抜ける原因はいくつかあります。
「熱膨張」で釘が緩む
「熱膨張」は名の通り、金属が太陽熱で膨張、気温の低下で収縮する現象のことです。
この膨張・収縮を繰り返すことにより、徐々に釘が抜けてきてしまいます。
「釘の腐食」で釘が緩む
棟板金の固定に鉄釘が使用されている場合、鉄は水分により錆が発生しやすい性質があるため、錆びて膨張した釘が釘穴を広げ、固定力が弱まり徐々に浮いてきてしまう。
「風荷重」で釘が緩む
風荷重とは、風によって建物が受ける負担のことをいいます。
最も高所にある棟板金。1階建てより2階建て、2階建てより3階建てと、屋根の高さが上がるほど風速が早くなるため、風から受ける負担が大きくなり、釘が緩んでしまいます。
棟板金の釘が抜けた状態のままでいると、抜けた釘から雨水が貫板へと伝わり、棟板金の中で腐食が進んでしまいます。
この貫板がボロボロに腐食してしまうと、釘が効かなくなるので「貫板交換」も必要になります。
棟板金の釘が緩んだ時の対処方法
棟板金の釘が浮いている場合は、締め直しで対処できます。
棟板金が飛ばされたり、歪んでしまった場合は、交換工事が必要です。
既存の棟板金を撤去して新たに棟板金を取り付けるのですが、その時に貫板が腐食している場合は、貫板も交換が必要です。
また、台風や突風などで棟板金が損傷した場合、火災保険(自然災害)でまかなうことができるケースが多いので、見積もりを頼む際には、保険を使用したい旨を業者さんに伝えましょう。
釘の緩みや抜けなどは、ご自身で確認することが難しいため、塗装メンテナンスのタイミングで、業者さんにチェックしてもらいましょう。
棟板金交換の流れ
1.既存
2.既存棟板金撤去
3.既存貫板撤去
4.新規貫板取付け
5.新規棟板金取付け
完了
「棟瓦」
瓦屋根の頂上の接合部に使われる瓦のことです。
棟瓦が降ってきた雨を受け流し、棟の下地に雨水が侵入するのを防ぐ役割を担っています。
この「棟瓦」はいくつかの瓦によって構成されています。
・のし瓦
短冊形の瓦のことで、接合部に漆喰(しっくい)を塗り込みながらのし瓦を積み上げていきます。
・冠瓦
半円形の瓦のことで、のし瓦の頂上に蓋をする役割を担っています。
・鬼瓦
棟瓦の端に付けられている板状の瓦のことで、魔除けの役割を担っていたこともあり、鬼の形相が彫られていましたが、現在では様々なデザインが普及しています。
棟瓦の劣化
・漆喰の劣化
のし瓦の間にある漆喰が劣化すると、漆喰の剥がれから、のし瓦がズレてしまったり、雨水が染み込んでしまったりする場合があります。
・冠瓦(かんむりがわら)のズレ
銅線で固定されているのですが、経年劣化で傷みや緩みが生じて冠瓦がズレてしまい最悪落下して他の瓦を割ることもあります。
棟瓦の劣化は、瓦自体でなく棟の中の屋根土・銅線が劣化し、瓦を固定する力がなくなり、棟の歪みやズレ落ちなどが発生し、放置したままだと雨漏りや瓦の落下に繋がります。
漆喰の剥がれを「漆喰の塗り直し」、棟の歪みやズレを「ラバーロック」で施工する業者さんもいますが、どちらも見た目を整えるだけで、逆に雨漏りを発生させてしまうこともあります。
指摘されたらその場で修繕するのではなく、他業者さんにも見てもらうことが重要です。
棟瓦劣化の対処方法
瓦自体に欠けや割れなどがみられない場合は、「棟の積み直し」で対処できます。
①既存の棟瓦を撤去し、中の屋根土をきれいに撤去します。
②南蛮漆喰を詰めながらのし瓦を銅線でつなぎ積んでいきます。
③冠瓦をのせて銅線で固定します。
棟瓦の補修・修繕工事の目安は15年~20年です。
先にも記述したように見えない棟瓦の中が劣化してしまうので、目安を基準に点検されることをおすすめします。
棟瓦積み直しの流れ
1.既存棟瓦撤去
2.既存のし瓦撤去
3.既存黄土他撤去
4.南蛮積み(漆喰をのせる)
5.のし瓦積み
6.冠瓦積み
7.銅線巻き
8.鬼瓦巻き
完了
いかがでしょうか?屋根の棟(むね)にも様々な種類があるのをわかって頂けたでしょうか。いつも目にできない場所だからこそ、信頼できる地元の職人さんのチェックが必要になります。
気になるところがある場合はご相談のみでも大丈夫ですので、お気軽にどうぞ。
お問い合わせだけでもOKです!!
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