屋根・ふき替え工事の基礎知識
![屋根の写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/53.jpg)
お住まいを守る屋根。
この屋根材や下地には寿命があり、リフォームが必要です。また近年では、自然災害や耐震の対策としてリフォームするケースも増えています。
しかしこの屋根のふき替え工事は費用が高額のため、悪徳な業者に見積もりを依頼した場合、必要がないのに提案されるなんてことも…
訪問販売などで指摘された場合は、すぐに契約を交わすのではなく、数社に相見積もりを出させることが重要です!
突発的な自然災害によって屋根の一部が破損した場合は、被害箇所の修繕のみで解決できることもありますが、通常は、風雨・紫外線などの影響を直接受け、全体的に日々経年劣化している屋根材です。
経年劣化し寿命を迎えた屋根材では、雨漏りなどでおうちを傷め、最終的には住めなくなってしまうなんてことも。
そうなる前にふき替えを検討しましょう。
屋根のリフォームとしては、「葺き替え」「カバー工法(重ねふき)」「ふき直し」があります。
高額なリフォーム費用を無駄にしないためにも、基礎知識を身に着けておくことが大切です。
「ふき替え」とは?
ふき替えとは、既存の屋根材を撤去して、野地板や防水シートといった下地から新しい屋根材に貼り替えることです。
ふき替えのメリット
・既存の屋根材より軽いものを使用することで、耐震性を上げることができる。
・既存の屋根材を全て撤去するので下地の傷んでいる箇所を発見し、修繕することができる。
・下地から新たに貼り替えることにより、屋根の機能が新築同様となり、お住まい自体の寿命を延ばすことに繋がる。
・屋根材が変わることで、外観が一新される。
ふき替えのデメリット
・既存屋根材・下地材の処分費もかかるため、塗装や修繕に比べて費用が高くなる。
・既存屋根の解体中は埃が舞う。
・既存屋根材がアスベストを含有しているスレート(建築材)の場合、廃材処分費が高額になる。
ふき替えの流れ
1.既存
![既存の屋根材の写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/45.jpg)
2.既存屋根材撤去
![既存の屋根材を撤去している写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/46.jpg)
3.既存ルーフィング(防水シート)撤去
![既存ルーフィング(防水シート)を撤去している写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/47.jpg)
4.野地板(下地材)増し貼り
![野地板(下地材)を貼っているところの写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/48.jpg)
5.ルーフィング(防水シート)貼り
![ルーフィング(防水シート)を貼っているところの写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/49.jpg)
6.新規屋根材貼り
![新しい屋根材を貼っている写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/50.jpg)
7.貫板取付け
![新しい貫板を取り付けている写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/51.jpg)
8.棟板金取付け
![新しい棟板金を取り付けている写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/52.jpg)
完了
「カバー工法(重ねぶき)」
「カバー工法」とは、既存の屋根材をほぼ残して、その上に新しい屋根材を被せることです。
既存屋根が2004年以前に製造されたスレート(建築材)の場合、アスベストが飛散する危険性があるため、カバー工法(重ねぶき)で対応することも多いです。
「カバー工法(重ねぶき)」のメリット
・ふき替えに比べると工期も費用も抑えられる。
・解体作業がないため、埃によるトラブルが起こりにくい。
・屋根が2重になるので、断熱性や遮音性が高まる。
「カバー工法(重ねぶき)」のデメリット
・重量が増すので、建物の強度や耐震性を考慮することが必要となる。
・既存屋根材が瓦の場合や下地の劣化が激しい場合は、施工できない。
・太陽光などの設置が難しくなる。
・新しい屋根材が限定される。
・工事後に雨漏りが発生した場合、原因の特定が難しくなる。
ふき替えの流れ
1.既存
![屋根の写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/53.jpg)
2.既存棟板金・貫板(ぬきいた)撤去
![棟板金・貫板を撤去している写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/54.jpg)
3.ルーフィング(防水シート)貼り
![ルーフィング(防水シート)を貼っている写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/55.jpg)
4.新規屋根材貼り
![新しい屋根材を貼っている写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/56.jpg)
5.貫板取付け
![新しい貫板を取り付けている写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/57.jpg)
6.棟板金取付け
![棟板金を取り付けた写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/58.jpg)
完了
「ふき直し」
耐用年数が長い日本瓦(和瓦)の場合、瓦自体の傷みはなくても下地が先に寿命を迎えてしまいます。
そのため、既存の瓦を再利用して下地のみを貼り替えることを「ふき直し」と言います。
「ふき直し」のメリット
・外観を変えることがない。
・既存瓦を再利用することで環境に負担をかけない。
「ふき直し」のデメリット
・欠けや割れによって差し替える瓦が必要となった場合、製造中止などで既存の瓦を入手できないことがある。
・施工費用が葺ふき替え工事とほぼ変わらない。
![](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/59.jpg)
どの工法が適しているのかは、やはりプロに判断してもらうのが最適です。
現地調査をする際にきちんと確認してもらいましょう。
主に使用されている屋根材をご説明!
「スレート系」「金属系」「粘土系」「セメント系」の特徴や、メンテナンスの目安を詳しく見てみましょう。
「スレート系」
スレートとは、薄い板状の屋根材を指します。
粘板岩などの天然石を加工し仕上げた屋根材を「天然スレート」と呼びます。
聞きなれない「天然スレート」ですが、ヨーロッパで古くから使用されているので、ヨーロッパの街並みを見ていただけるとお分かりになると思います。
天然石を加工しているので、塗装などのメンテナンスがいらず、数百年と風雨や紫外線を受け続けても耐え得る丈夫さが魅力ですが、生産数が少なく高価であることと、衝撃に弱いことから、地震が多い日本での普及はあまり多くありません。
セメントに繊維素材を混ぜ塗装したものを「化粧スレート」と呼びます。
![化粧スレートの写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/60.jpg)
以前は繊維素材として「アスベスト」を使用していましたが、健康被害の観点から2004年よりアスベスト含有の化粧スレートは製造中止となっています。
カラーベストやコロニアルといった商品名で呼ばれることもあります。
低価格で多くのカラー選択ができることもあり、一般的に広く普及している屋根材で、現行のスレート材の耐用年数は20年ほどです。
デメリットは、
・苔やカビが生えやすい。
・衝撃に弱く、積雪などでも破損したり、地震の影響を受けやすい。
・保護塗膜が劣化していくので、10年前後での塗装が必要になる。
などがあげられます。
反り返り・ひび割れや破損が多い・白っぽくなるなどの劣化症状が出たり、20年を経過している場合は、ふき替えまたはカバー工法をする時期が来たのだと考えましょう。
「金属系」
亜鉛メッキ鋼板を「トタン」と呼びます。
![トタンの写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/61.jpg)
一昔前、トタン屋根は雨漏りしづらい構造と軽量かつ安価であるため普及していました。
ただ、耐用年数が10年ほどと短く、錆が発生しやすいため5年目安での塗装が必要になることがあり、断熱性・防音性に乏しく、最近ではトタンを使用した住宅は減少傾向にあります。
サビがひどく腐食して穴が開くなどの劣化現象が見られた場合は、ふき替えまたはカバー工法をする時期が来たのだと考えましょう。
近年、アルミニウムと亜鉛で作られた「ガルバリウム鋼板」が主流になっています。
一般的なトタンよりも防錆性があり、日本瓦の約6分の1という軽さで耐震性に優れています。
![ガルバリウム鋼板の写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/62.jpg)
また、塩害地域では15年ですが、それ以外の地域では耐用年数が30年と長く、不燃材料なので耐火性にも優れています。
デメリットとしては
・金属なので断熱性と防音性が低く、対策をとると費用がかさむ。
・衝撃に弱く、へこむ。
などがあげられます。
屋根の一部がめくれて、サビなどの腐食が目立ってきたら、ふき替えまたはカバー工法をする時期が来たのだと考えましょう。
「セメント系」
セメントと砂などが原料で、加圧成型して乾燥させ塗装したものを「セメント瓦」と呼びます。
日本瓦よりも安価だったため、かつて広く普及した屋根材です。
セメント瓦の耐用年数は20年ほどですが、瓦自体には防水性がないので、塗装による保護塗膜が重要になります。保護塗膜は風雨・紫外線などで日々劣化していくため10年毎での塗装が必要となってきます。
現在、セメント瓦は生産・販売されていません。
既存がセメント瓦の場合は耐用年数を超えていることから、ふき替えを提案されるケースが多いでしょう。
また近年では、「ハイブリッド瓦」が普及してきています。
この「ハイブリッド瓦」は
・樹脂混入繊維補強軽量セメント瓦
![新素材の軽い瓦の写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/63.jpg)
・高分子繊維セメント瓦
という形で瓦に似た形状を作り出しており、耐久性・耐候性・意匠性・装飾性を上手く組み合わせ、割れにくい・ズレにくいなど従来の屋根材の常識を覆す新しい屋根材です。
ただしこの「ハイブリッド瓦」、施工できる業者が限定される(専門講習を受け認められないと扱えない)などがあるので、ふき替えの候補にあげる場合は事前に業者に認定ショップであるかの確認が必要です。(認定でない場合はメーカー保証が受けられません。)
「粘土系」
粘土を焼き上げて作る陶器瓦で「日本瓦」「和瓦」などと呼ばれています。
![日本瓦の写真](https://reformados.org/wp-content/uploads/2020/05/64.jpg)
焼き上げられた瓦なので、耐久性が非常に高く50年から100年と言われています。
破損しても1枚単位で交換でき、日本の風土に合っていて・耐候性・耐火性・断熱性・遮音性など非常に優れた屋根材です。
デメリットとしては
・重量があるため地震に弱い。
・暴風で瓦がズレたり落下したりする。
・使用する瓦によっては高額となる。
・施工できる職人が減っている
などがあげられます。
瓦自体の耐用年数は先に記述したように50年から100年と長いのですが、下地や漆喰(しっくい)黄土の劣化は先に出てきますので、漆喰の打ち替え・下地の貼り替えなど20年目安で点検をした方が良いでしょう。
「漆喰が劣化していて、すぐに補修しないと雨漏りしますよ。」などと言ってくる悪徳業者もいるので要注意です。
なぜなら、漆喰の劣化は下から見て分かりにくいことと、すぐには雨漏りに発展しないからです。
また、知識のない職人が漆喰補修をするとかえって雨漏りを引き起こすことにも繋がるので、注意が必要です。
リフォームの中でも高額になる屋根の葺き替え工事。
基礎知識を身に着け、分からないことや疑問に感じたことなど、見積もりに来た業者さんに
・質問すること
・相談すること
が大切です。
気になる場合はざっくりとしたご相談のみでも大丈夫ですので、
お気軽にどうぞ。
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