付帯部とは?外壁塗装時に付帯部も塗装する?
付帯部とは?
外壁塗装をする際、屋根や壁面と一緒に塗装する箇所に「付帯部(付帯部分)」という部分があります。
外壁塗装について調べているとよく目にしたり、見積もりに記載されたりしている「付帯部」ってなんだろう?塗る必要はあるの?といった疑問にお答えしていこうと思います。
付帯部には雨戸や雨樋といったメジャーなものから、破風板や鼻隠しなど、普段は聞きなれないものもありますが、いずれも建物を守るために取り付けられているものになります。
付帯部の代表的な場所
住宅の外壁塗装において、屋根や壁面以外にも塗装が必要となる部分があります。それが「付帯部」です。
付帯部とは、屋根や壁面以外の、建物の外側にある部分のことです。具体的には、以下のような部分が含まれます。
・軒天:外壁から突き出した屋根の裏側
・破風板:屋根の妻側に設置されている板
・鼻隠し:屋根の桁側に設置されている板のこと。雨樋が取り付けられてい
・雨樋:屋根の桁側に設置されている排水設備
・換気フード:換気ダクトの排出口上部をカバーするところ
・水切り:基礎と外壁の境界に設置されている板のこと。
古い住宅は、付帯部が多い傾向にあります。また、エアコンのホースやガスメーターの配管なども、付帯部として塗装することがあります。
付帯部は、屋根や壁面を保護するために重要な役割を果たしています。例えば、雨戸は雨や風から建物を守り、雨樋は雨水を建物の外側に排水する役割をしています。
そのため、外壁塗装を行う際には、付帯部も一緒に塗装することをおすすめします。
外壁と一緒に付帯部を塗装するのはなぜ?
一般的に外装をするタイミングで付帯部も一緒に塗装をします。外壁と一緒に塗装をするには理由がありますので見ていきましょう。
理由1:外壁塗装と付帯部塗装を別のタイミングで行なうと、余計に費用がかかる可能性大
別々に塗装すると、外壁と同時に行う場合よりも費用が増えてしまう点も重要なポイントです。この理由は、足場を設置する回数が増加するからです。
例えば、外壁と付帯部を別々に工事する場合、それぞれに足場を設置する必要があります。この条件で工事を行うと、当然ながら足場は2回設置されます。
足場の相場は15〜25万円程度ですが(設置面積や建物の形状により異なります)、1回で工事を終えればこの範囲内の費用で済みます。しかし、2回工事を行う場合は30〜50万円もの費用がかかってしまいます。
このように、別々に塗装するよりも一度にまとめて塗装を行った方が経済的です。外壁塗装は将来的に2回や3回と行うことが一般的ですので、経済的な負担をできるだけ軽減するために、まとめて工事を行うと良いでしょう。
理由2:外壁だけ塗装した場合、付帯部の傷みや汚れが目立つ
外壁が綺麗になった分だけ、より付帯部付帯部の傷みや汚れが悪目立ちすることになるでしょう。
付帯部の傷みや汚れがひどいほど、美しくなった外観とのコントラストが引き立ってしまいます。
美観の面で考えても外壁と付帯部は同時に塗装をするのが望ましいです。
理由3:付帯部を改めて塗装しようと思う人は稀だから
塗装には時間がかかりますし、部屋の窓を自由に開け閉めできないなどの制限も掛かることから、付帯部分のためだけに改めて行うのは稀であると考えてよいでしょう。
しかし、付帯部分は塗装せず放置する事で、その性能を十分に発揮できず、雨漏りを起こしてしまう可能性もあります。
付帯部はなぜ塗装が必要なのか
付帯部塗装が重要とされる理由は、付帯部の多くが建物の防水性を担当しているからです。
外壁や屋根だけをしっかりと塗装しても、付帯部の劣化を無視すると建物の防水性は向上しませんし、塗装後の美観も損なわれてしまいます。
付帯部塗装で建物の劣化を防ぐ
例えば、雨樋が破損していると、屋根からの雨が外壁に直撃してしまい、外壁の塗膜の劣化が早まります。それに加えて、雨が一箇所にまとめて排水されなくなり、敷地の周りや隣家に飛び散る可能性もあります。
また、破風板や鼻隠しといった屋根の周囲に取り付けられている板が腐食すると、屋根の内部に雨水が侵入し、雨漏りの原因となります。他にも、一見重要性が低いように見える軒天も、雨水が直接当たらないために放置されがちですが、台風や強風を伴う大雨で腐食していることもあります。これらを放置すると、外壁への漏水を引き起こす可能性があります。
このように、付帯部の多くは建物の防水性を維持するために欠かせない役割を果たしています。
●鉄部の腐食を防いで安全性を高めることも重要
付帯部の塗装において見逃してはならないのが、鉄部の補修です。
付帯部には金属製の構成物も存在します。通常、鉄部は塗装によって表面が保護されていますが、塗膜の劣化や傷によりサビが発生することがあります。
サビが進行すると、部材が腐食し、最終的には穴が開いてしまう可能性があり、部材の耐久性が著しく低下します。この状態では防水性が損なわれるばかりか、手すりや鉄骨階段など重要な箇所では大きな事故の原因となり得るため、補修が必須です。
鉄部の補修には主に「ケレン作業」と「防錆塗装」が行われます。ケレン作業は、工具を用いて錆びを取り除く作業で、錆びの進行度合いによって異なる段階の手法が採用されます。戸建て住宅では一般的に3種ケレンや4種ケレンが行われ、これにはサンドペーパーを使用して手作業で錆びを取り除く3種ケレンや、ハケを用いて簡単に清掃する4種ケレンが含まれます。2種ケレンも時折行われることがありますが、これは電動工具を用いて錆びを削り取る手法で、費用がかさむ傾向があります。
鉄部のケレン作業は錆びが進行するほど手間がかかり、費用も高くなります。そのため、早めに付帯部の状態を確認し、補修に取り組むことが肝要です。
付帯部も含めてカラーコーディネートしよう
既存の色と大きく異なる色で付帯部を塗り替えると、これまで目立たなかった付帯部が急に目を引くようになる可能性があります。
新しい外観をイメージする際には、付帯部も含めて全体を考慮する必要があります。
たとえば、同じ白い窓サッシでも、それがベージュの外壁にある場合とネイビーの外壁にある場合では印象が全く異なります。
淡い色の中では目立たなかった白い窓サッシも、濃い色の中にあるとコントラストが際立ち、はっきりと目につくようになります。
付帯部塗装に使用する塗料の色を決定する際には、安易に決めずに慎重にシミュレーションを行うことが重要です。提案された色が付帯部にどのように映え、全体のバランスにどう影響するかをじっくり検討しましょう。
外壁と一緒に塗装すべき付帯部はどれ?
外壁と一緒に塗装することの多い付帯部
外壁と一緒に塗装することが多い付帯部には以下があります。
◆雨樋
外壁が美しくなると、外壁を縦断している雨樋の傷みや汚れは悪目立ちします。
多くの場合(劣化している場合)は外壁の塗装のタイミングで雨樋も塗装します。塗装をすることで雨樋の耐久性を高める効果も期待できます。
しかし、ひび割れや大きな欠損が生じている場合は塗装では対応仕切れない場合もあるので、雨樋の部分交換を行うこともあります。
◆幕板(帯板)
ひび割れや塗膜の膨れや剥がれが進行すると、幕板(帯板)が原因での雨漏り発生のリスクが高まります。そのため、劣化している場合は外壁と同じタイミングで塗装してしまう事が一般的です。
美観の面で考えても外壁を塗装して外壁を横断する幕板(帯板)を塗装しなければ、汚れや傷みが際立って見えてしまうでしょう。
こちらも雨樋同様、塗装で補修しきれない場合は幕板(帯板)の交換や修繕を行うケースもあります。
◆軒天
軒天はひび割れや塗膜の剥がれ、カビなどが生じている場合に外壁と同じタイミングで塗装して補修します。軒天を塗装する場合は、屋根も同タイミングで塗装するケースがほとんどです。
劣化症状の中でシミが発生している場合は塗装ではカバーし切れない場合が多くあります。理由はシミの原因が雨漏りの発生に起因している場合が多いためです。
雨漏りが原因でシミが生じているとすると塗装のみではなく、軒天や破風なども張り替えの対象となります。
◆破風・鼻隠し
外壁と屋根を塗装する場合は破風と鼻隠しも一緒に塗装するのが一般的です。破風や鼻隠しは屋根の先端部にあるため、太陽光や雨風などの外部環境の影響を受けやすく、ひび割れや塗膜の膨れなどが進行しやすい特徴があります。
塗装で補修しきれない場合は交換を行います。
その他、外壁と一緒に塗装することが多い部分は
・庇(ひさし)
・換気フード
などがあります。
外壁と一緒に塗装することもある付帯部
以下の付帯部は必ずしも塗装をする必要はありませんが、施工主様の希望がある場合に外壁と一緒に塗装をすることがあります。
・雨戸、戸袋
・シャッター
・エアコンのダクトカバー
他にも塗装をしたい部分がある場合は、塗装ができるのかの確認も含めて塗装業者に相談してみましょう。
付帯部の塗装にかかる費用相場
付帯部の費用相場を以下に記載します。
部位 | 単価 |
軒天(のきてん) | 1,200~1,500円/㎡ |
破風板(はふいた) | 650~800円/m |
鼻隠し(はなかくし) | 650~800円/m |
霧よけ | 2,200円/m |
雨樋(あまどい) | 550~3,500円/m |
笠木(かさぎ) | 800円/m |
水切り | 200円/m |
換気フード | 500円/個 |
雨戸 | 2,000~3,000円/枚 |
戸袋 | 2,600円/枚 |
玄関ドア | 3,000~4,000円/枚 |
ベランダ、バルコニー | 4,000~6,000円/㎡ |
窓枠 | 600~1,100円/m |
手すり | 600~3,500円/m |
フェンス | 木部:600~1,100 鉄:600~3,000円/m |
シャッター塗装 | 1,500円/㎡ |
幕板(帯板) | 650~800円/m |
付帯部が見積もりに含まれていることをチェックしよう
付帯部は外壁塗装において非常に重要な工程です。しかし、悪徳業者などは施主が外壁塗装に関する知識が不足していることを狙い、付帯部塗装を省いて手抜き工事の見積もりを提出する可能性があります。
業者が提示する見積もりを確認する際には、その中に付帯部塗装が含まれているかを確認することが重要です。見積もりに付帯部塗装が含まれているかどうかを確認する方法についても知っておくと良いでしょう。
付帯部の名前が見積もりに含まれているか
業者によって見積書の作成方法や形式は異なります。そのため、「付帯部塗装」と記載されている業者もあれば、付帯部の具体的な名称を一つずつ記載している業者もあります。いずれにせよ、見積書に付帯部の名前が一か所でも記載されていれば、付帯部塗装が行われると考えてよいでしょう。
特に注意が必要なのは、「その他」と書かれている見積もりです。このようなあいまいな表記では、具体的にどの部分が対象となるのかが不透明です。そのため、「その他」や「一式」といった表現がある場合は、業者に質問して作業がどこまで行われるのかを明確にしておくことが重要です。
付帯部塗装の量は家によって異なる
設置されている付帯部の量や種類は家によって異なります。また、塗装や補修が必要なほど劣化しているかどうかも現場によって様々です。そのため、「外壁塗装では絶対に〇〇と△△の付帯部塗装が行われる」と一概に定義することはできません。
ご自宅がどこまで付帯部塗装が必要かは、複数の業者で見積もりを取って判断することが重要です。すべての業者で塗装が必要と判断された付帯部、いくつかの業者で必要とされた付帯部、一社しか必要と判断しなかった付帯部の順にレベルを分けると、適切な付帯部塗装の作業量が見えてきます。
適切な工程で付帯部塗装が予定されているか
外壁塗装は下地処理が非常に重要です。下地処理とは、塗料を塗る前に、塗装する面の状態を整えておく作業のことです。もしそのまま塗料を塗っても、汚れや劣化に邪魔されて塗料が密着できず、塗装から数年で剥がれたり破れたりひび割れたりしてしまいます。
下地処理が必要なのは付帯部も同様です。見積もりを確認する際は、付帯部にも下地処理が行われていることを確認することが重要です。
下地処理には様々な作業が存在しますが、付帯部で行われるのは主に次の工程です。
- ケレン作業
- ひび割れ補修
- 下塗り
これらのいずれかが付帯部塗装の工程に含まれていれば、下地処理が正しく行われると考えてよいでしょう。下塗りは、仕上げ用塗料が塗装する面に密着するように下地材を塗る作業であり、下地処理で塗装面を整え、仕上げ用塗料を接着させる下地材を塗ることによって初めて、塗装ができる状態になります。
適切な塗料が選ばれていることを確認
塗料には塗装できる素材とそうでないものがあります。ほぼすべての素材に塗装できるタイプもありますが、金属やプラスチックなどには塗装できない塗料も存在するため、塗料選びでは素材と相性のよい種類を見極めなければなりません。特に、付帯部には様々な素材が使われていますので、相性が悪い塗料を塗ると耐久性の低い塗装になってしまいます。
例えば、鉄製の雨樋やフェンスなら、塗料メーカーが鉄部への使用を許可している塗料を使用する必要があります。水性塗料と溶剤塗料(油性塗料)があり、溶剤塗料にしっかり密着できるのは溶剤塗料です。水性塗料でも鉄部に密着できるタイプが登場していますが、耐久性は溶剤塗料の方がやや上回ります。
また、木部は特に塗料の種類が限られる素材です。木部は湿気に反応して収縮と膨張を繰り返すため、塗装しても木材の動きで塗膜が割れてしまいます。そのため、木部塗装では素材自体に塗料を浸透させるタイプの塗料が選ばれることがあります。
もちろん、見積もりだけでは正しい塗料が選ばれているかわかりません。しかし、塗料名をメーカーホームページで調べれば「屋外鉄部用」や「防錆性塗料」などと書かれていますので、外壁塗装に詳しくない方でも効果は理解できるはずです。見積もりには塗料名やメーカー名が記載されていなければ調べられませんので、塗装業者には詳細な見積書を作るようにお願いしましょう。
付帯部塗装を失敗しないために!把握しておくべき見積り&色選びのこと
見積り|付帯部塗装に関する記載も必ず確認すべし
外壁塗装と併せて付帯部を塗装する場合は見積もりの付帯部に関する記載も必ず確認しましょう。
契約を結ぶ前に「特に気をつけたいポイント」を以下にあげていきます。
ポイント1 塗装箇所
付帯部の塗装箇所については確認しておきましょう。
「付帯部」や「付帯部一式」とといった曖昧な表現ではどの付帯部を塗装するのか見積もりに明記されていない場合、「塗装してもらえると思っていた箇所を塗装してもらえなかった」といった事になりかねません。
見積もりに付帯部の詳細が明記されていない場合は必ず確認をしましょう。
ポイント2 使用する塗料
付帯部に使用する塗料についても確認しましょう。
「外壁塗装に使用する塗料とは別に、付帯部に使用する塗料が明記してあるかどうか」を必ずチェックしましょう。塗料には対応素材が定められており、「多くの場合は外壁塗装で使用した塗料を付帯部塗料に使い回すことができない」からです。
例を挙げますと、窯業系サイディング用の塗料では雨樋の塗装はできません。用途が違いますので、 塗装直後は綺麗に仕上がっているように見えても、早々に塗膜が剥がれるなどの不具合が生じてしまうでしょう。
見積もりに付帯部に使用する塗料の記載がない場合は、業者に確認してみましょう。その際に「外壁と付帯部は同じ塗料で塗装する」といった返事の場合は、その塗料が付帯部の素材にも適合しているのか踏み込んで確認をしましょう。
※付帯部の塗料は外壁に使用する塗料と同じ程度の耐久年数を持ったものを選ぶのがおすすめです。次回の外壁塗装と付帯部塗装のタイミングが合った方が工事がしやすいからです。
ポイント3 付帯部の塗装にかかる費用内訳
付帯部の総額だけでなく、施工費と塗料費の費用内訳においても確認しておきましょう。見積もりに付帯部塗装の総額しか記述がない場合には、内訳を業者にきいて明らかにしておきましょう。
そこまでする理由は「費用の内訳を曖昧にして、施主にわからないように塗料のランクを下げて不当に利益を出そうとする業者がいるからです。」そういった業者に工事を依頼してしまわないように費用の内訳まで確認することが必要です
外壁塗装と合わせて
色選び|付帯部の色も住まいの印象に大きく影響する
外壁と同じくらい付帯部の色選びは重要になってきます。外壁と付帯部の色の相性が悪いと、住宅を見た時に残念な仕上がりになってしまうこともあります。
付帯部の色選びに失敗しないためには大きく分けて2つのアプローチがあることを覚えておきましょう。
①外壁(もしくは屋根)と同系統と色を選ぶ
②補色(アクセントカラー)を選ぶ
どちらのアプローチを選ぶかで住まいの印象は大きく変わります。