最近よく聞く「ラジカル系塗料」とは？

「ラジカル系塗料」とは？

ラジカル系塗料は正式には「ラジカル制御型塗料」といいます。
主成分である合成樹脂の名前ではなく、アクリル樹脂ベースやシリコン樹脂ベースの塗料に、ラジカルの発生を制御する成分が組み込まれています。

「ラジカル」とは、塗料に含まれている顔料に、酸素や水、紫外線などにより発生する劣化因子のことです。

この「ラジカル」は外壁や屋根の塗膜の劣化させる原因の一つで、塗膜の劣化でよくある「チョーキング現象」（触ると白い粉が手につく現象）を引き起こします。

「高耐候酸化チタン」

「酸化チタン」は本来ラジカルを発生させる成分ですが、「高対候酸化チタン」にはラジカルを内側に閉じ込める性質があります。

「光安定剤」

「光安定剤」は高対候酸化チタンが閉じ込められなかったラジカルをキャッチして活動を抑えてくれます。

このように、高対候酸化チタンと光安定剤の相互作用によって、ラジカルの発生を抑え制御することができ、塗膜の劣化を抑えることができるのです。

ラジカル制御型塗料のメリット・デメリット

チョーキング現象が起こりにくい

触ると白い粉が手につく「チョーキング」は塗膜劣化現象の一つで、経年劣化により塗膜に含まれる顔料が表面に浮き出してきます。
ラジカルが発生するのは淡い色に多く含まれる「白色顔料」が原因です。

チョーキングを放置すると、水分を吸収してしまい藻やコケ・カビの原因に繋がります。
このチョーキング現象が淡い色でも起こりずらいのが特徴です。

光沢が続き、汚れがつきにくい

汚れに強く、変色しにくいため、光沢の持ちが良いのも魅力の一つです。

「ツヤあり」の場合、ツヤの加減を調整（５分ツヤ・３分ツヤ）することが可能ですが、ツヤ消し材を混ぜるため、塗料の耐久性がやや落ちてしまうこともあります。
よって、汚れにくく長持ちさせたい場合は、ツヤありの光沢をなるべく落とさずに塗装することをおすすめいたします。

下地を選ばない

相性の悪い下地がないため、ほとんどの住宅に使えるもの魅力です。

コストパフォーマンスが良い

なんと言っても、コストパフォーマンスが良いのが魅力です。
シリコン系塗料と１㎡単価はさほど変わらないのに、耐久性はシリコン系塗料とフッ素塗料の中間になるのです。
そのため、１㎡単価や耐久性を考えた場合、ラジカル塗料はお得だと言えるのです。

濃い色にできない場合がある

製品によっては、黒など濃い色を選べない場合があります。
しかし、ラジカルが発生する白色顔料をほとんど含まない濃い色の塗料であれば、チョーキング現象は発生しにくいため、濃い色にしたい方は「ラジカル制御型塗料」にこだわらなくても良いと言えます。

新しい塗料である

冒頭で軽くお伝えしましたが、2012年に日本ペイントから発売された塗料なので、知名度が低く塗装実績が少ないのがデメリットと言えるでしょう。

主に使われている代表的な塗料は？

日本ペイント　パーフェクトトップ

ラジカル塗料の先駆者で2012年に発売された水性塗料です。
ツヤあり・7分ツヤ・5分ツヤ・3分ツヤ・ツヤ消しから選べます。

日本ペイント　ファインパーフェクトトップ

2012年に発売された「パーフェクトトップ」をベースに美しい光沢が出る油性塗料として開発された塗料です。
ツヤあり・7分ツヤ・5分ツヤ・3分ツヤから選べます。

エスケー化研　エスケープレミアムシリコン

日本ペイントのパーフェクトトップを追いかけるように2014年末に発売された水性塗料です。
ツヤあり・半ツヤ・3分ツヤ・ツヤ消しから選べます。

エスケー化研　エスケー弾性プレミアムシリコン

エスケープレミアムシリコンよりも汚れなどに強く、美しい光沢が出るよう開発された水性塗料です。
ツヤあり・半ツヤ・3分ツヤから選べます。